早足の女性は病気にかかりにくい?!
1万3535人の女性(研究開始時30~55歳)を分析した研究で、歩行速度が、将来の健康状態を左右することが示されています(Arch Intern Med.170(2):194-201,2010)。
これらの女性の9年後の歩行速度を調べ、この人たちが70歳になったとき、がんや糖尿病、心不全、脳梗塞、パーキンソン病などの重大疾患にかからず、認知
機能や身体機能の障害もなく、精神的にも健康な状態でいられる確率(サクセスフルエイジング達成度)を計算しました。すると、歩行速度が時速3.2km未
満の人を1とすると、同3.2kmから4.8km未満の人は1.9倍、同4.8km以上の人は2.68倍という結果に。
つまり、意識して速く歩くようにすることが、病気予防につながるといえそうです。
早足のうえに、たくさん歩けばもっと健康に
この研究では、体格指数(BMI:Body Mass Index※)
や運動量がサクセスフルエイジング達成度に与える影響も検討しています。運動量が同じなら、肥満の人(BMI25以上)よりも普通体重の人のほうが、同じ
体格なら運動量が多いほうがサクセスフルエイジング達成度は高いことが分かりました(図1)。運動量の目安は、運動の種類によって変わりますが、早足によ
るウオーキングに換算すると、軽度は1時間以内、中等度は1時間超~3時間半、高度は3時間半超(すべて1週間あたり)とされています。
※BMI:Body Mass Index=体重(kg)÷身長(m)÷(m)25以上で肥満、18.5以上25未満が普通体重、18.5未満で低体重
「まだ私は若いから、もう少し年をとったら速く歩くようにしよう」なんて思った人は、きっといつになっても実行できません。早足は、すぐ始められる習慣です。後回しにせず、今日から始めましょう。
もうひとつ、耳寄りな話もあります。
ノロノロ歩くと姿勢も悪くなりがちですが、速く歩くためには上半身の筋肉もしっかりつかって、姿勢を維持する必要があるので、"姿勢美人"への近道になる可能性も大!
先日、「ピンク・レディーの未唯mieさんが、53歳になるのにスタイルもよくて美人なのにはどんな秘密があるのか?」というのを追跡するテレビ番組がありました。でも彼女の答えは「歩ける距離なら歩くようにするだけ」、とのこと。
ところが! その「ただ歩く」速度の速いことといったら!! しかも大また。ちょうど『ペッペー警部』のリズムと歩調が一致していたんです。
早足の効果――説得力がありますね。
早く歩く人は平均余命も長い
歩行速度が寿命の長さに関連している可能性を示唆する研究成果が2011年1月に発表されています(JAMA.305(1):50-8,2011)。この
研究は、1986年から2000年に実施された9件の疫学研究に参加した65歳以上の男女3万4485人を対象に、研究開始時の歩行速度と平均余命との関
連を調べています。
その結果、いずれの年齢においても、歩行速度が速い人ほど平均余命が長いことが確認されました。歩行速度がもっとも遅い人
た ち(時速0.72km)ともっとも速い人たち(5.76km)を比べると、75歳時の10年後生存率が男性の場合19%対87%、女性の場合35%対
91%と、大きな差が出たのです。
歩行速度から予測される生存率は、疾患歴や喫煙歴、BMI、入院歴、介護状態などによる生存率の予測と同じくらい正確なことが分かり、研究グループでは「歩行速度から生存率を予測することで、高齢者の健康管理に生かせるのではないか」としています。
そして研究グループは、「追加の調査が必要だが」と前置きした上で、「我々の研究では、時速3.6km以上の速度で平均余命を超え、時速4.32km以上でさらに長い余生を過ごせることが示唆されている」としています。
冒頭の研究と合わせて考えると、まず、時速4km以上で歩くのを目標にしたいですね。
また、ウオーキングには、個別の疾患予防に関する研究もいろいろあります。例えば、認知症の発症予防(Neurology.70(19 Pt
2),1786-94,2008)、乳がんリスクの低下(Arch Intern Med.170(19),1758-64,2010)など。
いずれにしても"歩く力"を養うことは、サクセスフルエイジングのための大切な要素といえそうです。ウオーキングを習慣にして、健康でイキイキとした老後を迎えたいですね。
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